JFCネットワークは、日本人とフィリピン人の間に生まれた子どもたち(Japanese-Filipino Children:JFC)を支援するNPOです。

特定非営利活動法人 JFCネットワーク

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その他2014.10.17

JFCの声を伝えたい。応援寄付をどうぞよろしくお願いいたします!

このプロジェクトについて

ジャパニーズ・フィリピーノの若者たちの声を届けたい!

日本人とフィリピン人の間に生まれたJFC。父親との関係や貧困に苦しみながらも、夢を持ちたくましく生きる青年たちがいます。彼らの声を伝えるイベント、ドキュメンタリー制作を応援してください。

「日本のお父さんに会いたい」と願う子どもたち

国際移住機関によると、日本人とフィリピン人の間に生まれた子ども、ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)が、フィリピン、日本両国で10万人から20万人いると推定されています。その多くが、フィリピン人のお母さんと日本人のお父さんの間に生まれた子どもです。そのなかには、両親といっしょに幸せに暮らしている子どもがたくさんいます。しかし、一方では、さまざまな理由で両親の関係が破たんしたり、理由が分からないままに突然日本人のお父さんとの連絡が途絶えてしまい、母子がフィリピンに取り残されてしまったケースも多いのです。

JFCネットワークは、そんなお母さんと子どもの人権を守るための活動、父親さがしを1994年からおこなってきました。今年、設立から20周年を迎えます。設立当初、生まれたばかりのJFCも、20歳の成人を迎えているのです。ここ数年は、JFCである子ども自身から「日本人の父親をさがしてほしい」「日本人の父親に会いたい」といった相談を受けることが増えています。

JFC自らが語った人生

日本人の父親を知らずに育ったJFCは、これまでどんな道を歩んできたのでしょうか? そしてどんなことを考えているのでしょうか?

今回、JFCネットワークは、日本とフィリピン、両国で暮らすJFCを対象に「ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレンとして生きる私の人生」というテーマで、エッセイを募集しました。そして、多くの作品が寄せられました。作品からは、さまざまな葛藤を抱えながらも、フィリピン人として、日本人として、誇りを持ち、力強く生きようとする姿が見えてきました。

2014年2月、フィリピン事務所にて、エッセイコンテストに向けたワークショップを実施。

〈応募作品より〉

「日本もフィリピンも、父親も母親も、そして僕の生きてきたこれまでの時間も「僕」という存在からは断ち切ることができません。しかし、それらはあくまでも自分を構成する一部分でしかないのです。時として、それらから制約を受け、順調にいかないこともあるでしょう。それでも僕たちは、自分の可能性を信じて生きていくことができると信じています」 (21歳 男性)

「私たちの家族に何があっても、家族は家族。これはフィリピン人として学んだことです。私が願っているのは、将来、家族そろって生活すること、そして幸せになること、それがすべてなのです」(24歳 女性)

入賞作品は、2014年10月13日に東京で開かれるJFCネットワーク設立20周年イベントで発表します。

読んで、観て、聞いて、JFCを知るイベント

また、現在、JFCネットワークでは、エッセイコンテストと平行して、JFCの若者を追ったドキュメンタリー制作にもとりくんでいます。

このドキュメンタリーには、現在、日本で暮らすJFCも多く登場します。フィリピンとは何もかもがちがう日本で、母と寄り添って暮らしてきた子。父親のそばで暮らすことを願い、日本にやってきた青年。彼らが体験してきた人生は、平たんとはいえません。それでもJFCたちは「いつも強くありたい」と話します。そんな生の言葉を集めたドキュメンタリーです。

監督は「月あかりの下で」などの作品で知られる映像ディレクターの太田直子。日本とフィリピンを行き来し、撮影に励んでいるところです。10月13日の20周年イベントでは、中間発表として、これまで撮影してきた映像を公開いたします。なお、このイベントでは、ドキュメンタリーに出演予定のJFCたちによる、パネルディスカッションも行います。

監督プロフィール太田直子
1964年生まれ。東京都出身。高校非常勤講師、書籍編集などの仕事を経て映像の仕事に携わる。現在は、フリーの映像ディレクターとして活動する一方で、在日フィリピン人を支援する団体「KAFIN」の運営に関っている。

ドキュメンタリー作品
日本テレビNNNドキュメント「俺は母ちゃんを殺した」(2005年)
日本テレビ系列「テージセー 〜1461日の記憶〜」(2007年)
ETV特集「学ぶことの意味を探して ~神田一橋 通信制中学の歳月」(2014年)

映画
月あかりの下で  ある定時制高校の記録」(2010年)

この動画は2010年に作成されたものです。

【受賞歴】
・ 平成22年度 文化庁映画賞 <文化記録映画優秀賞>
・ 2010年度 日本映画ペンクラブ <文化映画部門 第1位>
・ 第35回 日本カトリック映画賞
・ 2010年 第84回キネマ旬報ベスト・テン <文化映画 第2位>
・ 第28回 日本映画復興賞 <日本映画復興 奨励賞>
・ 第16回 平和・協同ジャーナリスト基金賞 <荒井なみ子賞>
・ あいち国際女性映画祭 <愛知県興行協会賞>
・ 第14回ソウル国際女性映画祭 <GSカルテックス賞>

監督からのメッセージ

JFCの問題は、男女の南北問題ともいわれます。私はずっと憤りと疑問を感じてきました。なぜ本来、日本人男性が個人で負うべき責任を、日本の良心的な人たちが支えなければならないのでしょうか? しかし一方で、それだけ日本という国はフィリピンを経済的に踏み台にしていると思うのです。

女性も男性も海外で出稼ぎしなければ生きていけない。その構造をつくりだしているのは、よってたかって資源豊かな国を食い物にしている先進国ではないでしょうか。そこに属する私たちが、彼らの人生をまったく個人的なことだから、と切り捨てるわけにはいかないという気持ちがあるのです。見ず知らずの男性の尻拭いをするのはまっぴらごめんですけど、ね。

でも、そんなことよりも何よりも、子ども自身が自分たちのアイデンティティーを求めて、「お父さんに会いたい」と連絡してくるケースが増えているときいたとき、何か彼らの力になりたい、強く思いました。

私の想像のおよばない世界を彼らは生きてきました。そして、いま日本に暮らしています。或はずっと日本で育った子どもたちもいます。けれど、彼らの苦しみ、悲しみを想像することはこれまでなかったはずです。

映像を通して、いま日本で普通の若者としてくらす彼らの抱えてきた人生に、思いを寄せる人が一人でも増えるのなら、本当にうれしく思います。すぐ隣にいる彼らの心のうちを知りたい。それはまた、日本人である私たち自身を照射するものではないかと思うのです。

多文化共生へのステップに

コレクターになってくださったみなさまを、2014年10月13日、東京都新宿区NPO協同推進センターで開催する20周年イベントにご招待させていただきます。本場のフィリピン料理とともに、JFCとの交流をお楽しみください。(参加できなかった方には、後日、エッセイコンテスト入賞作品をまとめた冊子を送らせていただきます)また、1万円以上寄付していただいた方には、完成したドキュメンタリーを収録したDVDを贈らせていただきます。

現在、日本では、国内で生まれる赤ちゃんの30人に1人が外国にルーツを持つ子どもです。
二つの国、文化のはざまで、さまざまな悩みを抱えている子どもも多いようです。このイベントをきっかけに、そうした子どもたちとの関わりについても、立ち止まって考えていただけたら幸いです。

想定されるリスクとチャレンジ

年々、JFCからの相談は増えていますが、JFCネットワークの台所事情は大変きびしく、毎日の業務さえもスタッフの手弁当ですすめている状況です。それでも、自分の人生に真摯に向き合い、エッセイをつづったJFCたちの今後の励みになるよう、入賞者に賞金(計 約20万円)を贈りたいと考え、今年初めより寄付を呼びかけてきました。しかし、まだまだ必要な金額にはほど遠く、藁にもすがる思いでMotionGallery で呼びかけをさせていただくことにしました。

また現在、太田監督も自身の持ち出しでドキュメンタリーの撮影をすすめています。ですが、より多くのJFCの声を届けるために、少しでも取材経費を得ることができればと思っています。ぜひ、ご協力をお願いします。

  目標金額20万円の使途
・エッセイコンテスト入賞者賞金への補助 10万円
・取材経費 10万円

ドキュメンタリーの完成は、2015年3月をめざしています。完成後は、2015年4月をめどに、東京近郊の公共施設を使って上映会を開く予定です。入場料で収益を得るための上映会というよりは、一人でも多くの方に映像を見にきてもらい、JFCについて知ってもらうことをめざしています。上映会の詳細につきましては、コレクターの皆さまには、追ってご連絡させていただきます。なお、撮影の進行によっては、上映会日程が遅れる可能性もございますことをご容赦ください。

知ることからつながって

私たちのプロジェクトをご覧いただき、ありがとうございました。

フィリピンで暮らすJFCたちは、父親の国であり、もう一つの祖国である日本の人々に、自分たちの思いを知ってほしいのだ、といいます。この機会に、JFCに関心を寄せる人の輪が広がっていくことを願っています。